第壱章

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「じゃあ、2人はここで待ってろ」 「ああ。」 「どうせ、俺達妖には入れない場所だからな。」 「じゃ、行って来る」 そう言って俺は襖を開けた。鬼童丸と未連祈、他の妖もこの敷居を跨ぐことは許されない。強い結界が施されているから。 2人は俺が帰るまでずっとあそこにいろんだろう。 俺はそのまま前に進む。入ってからもまだまだ続く道に嫌気がさして来る。 そしてやっとー…、本人達がいる場所に到着した。 「母様、婆婆様、柚姫です。」 「座りなさい。」 凛とした女の声を張るのが俺の母。黒髪に後ろで結っている。婆婆様というと、ほぼ白髪。で、よぼよぼな婆さん。だがとても健康体。 「今日、貴方を呼んだのには重大な伝えがあります。」 「……何でしょうか?」 「昨日、大森月宮学園という高校の理事長から連絡というか、依頼がありまして…。学園内に妖がいる…と言われました。」 学園に妖…?そもそも、表の世界の人間がどうして神凪に…。 「その理事長とやらは、裏社会に携わる人間と関わりがあるらしく、相談した所、神凪を紹介したそうです。」 「そうですか…。で?俺にどうしろと?」 「その学園に編入し、調べて欲しいのです。もちろん、妖がいたならば祓ってくださって結構。梦月櫻とあなたのお目付役3人を連れて行きなさい。 それに、母としても貴方を甘やかし過ぎたかもしれません。こんな箱入り娘になるとは…」 いや、俺息子だからね。そこ忘れたら駄目だよ。いくら女みたいだからってさ……。 「それに…神凪の血肉はどんなものでも引き寄せる。美しい容姿に全てを魅惑する神凪の血はいつも危険が伴います。 だから私は貴方を危険な目を合わせまいとずっと屋敷からださず、家庭教師だけで勉学させてきましたが、貴方にも学校というのを知ってもらいたい。 私情を挟みますが、これは母からの依頼と思って受け取ってください。」 「母様……」 そんな事思ってたのか…?全部言い終えた母様の顔は緩んでいて、とても綺麗だった。 「はい。その依頼、お引き受けします。」 「…では、詳しい内容を伝えます。」 .
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