第壱章

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「学園という所…俺たちも行っていいのか?」 「いいに決まってんだろ。」 未連祈が深妙な面持ちでそう聞いて来る。何だ?なんか不満でもあるのか? 「だって俺達、普通に千年軽く超えてるからな。年齢」 「……ああ!言われてみれば確かに!」 まるで今思い出したような反応の仕方に鬼童丸と未連祈はぶっと噴き出した。 「…何笑ってんだよ…」 そして不貞腐れる柚姫。急に笑い出した2人にムカついているようだ。 「いや…ふふ、姫らしいなと思って…」 「何がどこが……」 「俺達を、妖として見てないって事だ。たまにそんな風に見える。」 「それがおかしいのか…お前等…」 更に不貞腐れる柚姫。さすがにと思った鬼童丸は柚姫の頭をポンポンと撫でる。 「悪かった…。でも嬉しかったんだよ」 「は?」 「こうやって、しかも神凪の次期巫女に敬語無しで話すっていうのが、姫が初めてなんだ。」 「そーなのか…?」 初めて….?こんな風に話すのも?何かそれって…哀しいな…。 「…はあ。取り敢えず、明日からその学園に編入って訳だから。真珠浪には俺から言っとく。」 「へいへい…別に姫から言わなくてもいーだろ…」 鬼童丸は最後らへん小声で言ったため柚姫には聞こえなかった。 「ん?何」 「何でもねーよ…」 あ、なんか今逸らされた。ムカつく。鬼童丸のくせして。 「姫、そんな奴ほおっておけ。只の馬鹿だ。」 「未連祈…どうしてお前はそう鬼童丸にキツイんだ…」 「どうしてって…好きな奴以外に優しくする気は無いからな」 「てめっ!何言ってんだよ!姫!今のは聞くんじゃねえ!」 「は?好きな奴?そーなのか。つか、どんな思考だよそれ」 さも気にせずスタスタ歩いていく柚姫を見て2人は思った。 「さすが、箱入りだ……」 「………だな」 鈍い。鈍すぎる。そもそもそんな概念すら無いのかと思う2人だった。 .
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