残酷な現実

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深々とため息をついた翔也に、いきなり背後から抱きつく人物がいた。 「おっと…どうした、遥?」 妹の遥だ。年子なので学年は同じである。翔也は背中に抱きつく遥を正面に持ってくると、涙目でこちらを見てくる遥に、目線を合わせて尋ねた。 「うぅ…お兄ちゃんも一緒に行こうよ?」 そんな様子の2人に、いい歳こいて未だにラブラブな2人の人物が声をかける。 「ハッハッハッ!遥は本当にお兄ちゃんが好きだな!」 「翔也はモテモテねぇ…お父さんの若い頃みたいだわ…」 「いやいや、そう言う母さんだって…」 翔也は、2人の世界に入り始めたおっさんとおばさ「翔也?」…若者のようなお父様とお母様を放置すると、再び遥の方に向き直った。 「ごめんな、遥。俺も本当は一緒に居てやりたいんだけど…今度、俺に出来ることなら何でもやってやるから許してくれよ…な?」 「本当に?」 「ああ、本当だよ。」 「分かった!じゃあ、これからはずっと一緒に寝ようね!」 「えっ!そ、それはちょっと…」 (たまには厳しくしないと駄目だな…) 「ダメ…なの…?」 今にも泣き出しそうな目で見てくる遥に、慌てた翔也は思わず頷いた。 「よーし、今日から一緒に寝てやるからな~」 (俺ってシスコンなのか…) シスコンの気がある翔也であった。 「ありがとう!お兄ちゃん、大好き!」 満面の笑みを浮かべる遥を見ると、翔也はもうどうでもいい気持ちになった。 (もうシスコンでもいいや…)
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