残酷な現実

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出発の時間になり、車に乗り込む4人を、少し悲しそうな笑顔で見送る翔也の頭にそっと手が置かれた。後ろを振り返ると3人の家族が居た。桜の両親と桜の妹の桃花だ。 翔也の家と桜の家は、道路を1本挟んだ向かい側にあるので、4人が帰って来るまで桜の両親が面倒を見ることになっていた。もちろん誕生日パーティーにも参加する。 「翔也君、悲しい顔で見送るのは駄目だよ?見送る人が笑顔じゃなかったら、見送られる人が安心して行くことができないんだよ?」 桜の父親はそう言った。同年代の中では聡明な翔也なので、言われたことは理解していた。が、やはり家族と幼馴染が遊びに行ってる時に、幼馴染の両親が居るとはいえ、待ちぼうけるのには思うところがあったようだ。 そんな様子を見た桜の父親は、苦笑しながら… 「5時間もしない内に皆に会えるんだ。男なら5時間ぐらい待ってやるもんだぞ。なあ、母さん。」 と、言った。それを引き継ぐように桜の母がにこやかな笑顔で、 「そうよ。それに、桃花の面倒も見てもらわなくちゃ!桃花は翔也お兄ちゃんのこと大好きだもんね?」 そう言われて、翔也は桃花に視線を向けるが、先ほどいた場所にはおらず、気づいたら翔也に抱きついていた。
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