序章

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 いまだかつて、この国が存在したことを知るものは少ない。 千年の長きにわたり、一王朝が大陸の西端を支配し、時には大陸の半分までを領土としていたことも。 その影には、カムイと呼ばれる、将たちの存在があった。彼らは、その特異な体質をもってその国を支え、また乱し勃興の担い手として常にその国と、これから始まる物語の中枢にいた。  その物語を語ることのできる者は、今となっては語り部のクベ一人だけである。 その昔はクベ自身もカムイであったというから、真実味もさらにますであろう。さて、話の始まりは、その国「ヒヨウ」がまだ産声をあげる前、二人の少女が旅立つところから。
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