第一章 第一夜 二人の放浪

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急な山道と、背の高い木々の間を、二つの影は朝からさまよっていた。 山すその市で聞いた話も、半信半疑だったが、今はそれを信じ 探すしかなかった。  二人の第一の目的は、刀鍛冶の「マサムネ」を探すこと。 自身の力量では、数打ちの太刀が耐えられないからだ。そのことは、 前日の賊の襲撃ではっきりした。  賊は追い払ったものの、二人とも村を出るときに渡された太刀を折っ てしまった。  「ほんとにこんなところに「マサムネ」はいるのかね・・・」  一人がつぶやく。だいぶ山道を歩いたせいもあって、少し肩で 息をし始めていた。  「間違いじゃないと思うわ、麓の町の人たちが使っていた刃物は、かなり出来がよかったから」  もう一人が答える。日を避けるため二人とも頭巾をかぶっているが、 理由はそれだけでもなさそうだ。  「大体、師匠も人が悪いよな、紹介状さえもたせれば、それでいいと 思ってる。これでは今日中に見つかりそうにないな」  一人は休みたいのだろう、少し弱音をはいた。それをみてもう一人は、 くすくすと笑う。  「しょうがないわね、アンヨウは・・ここで少し休みましょうか」  
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