*逸話

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「…ねぇ、僕こんな歩くなんて聞いてないんだけど?牛車とかなかったの?」  一人の青年は先を歩く背中に言う。 「聞いてます?ねー、聞いてるの?」  問いかけても何も返さない背中。  ー…殴ってやろうか?  彼がそう考えていたら不意に止まった。 「秀郷(ひでさと)、あれだ。」  指が示す先には大きな都がある。 「あれが、君が行ってる都なのカイ?」  背中は静かに頷いた。 「あそこに、黄泉(よもつ)ノ國に通じる者がいる筈だがー…」 「まあまあ、堅苦しい説明は置いといて都会を堪能しようヨ。」  溜息が一つ零れた。    彼等は歩を進める。一つの屋敷へ向かって。
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