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「秀郷。」
次に聞き覚えのある低い声が聞こえた。
書物から顔を上げると特徴的な二人組が目に映る。
秀郷と呼ばれた金茶の髪に…怪しい狐面(こめん)を株ってる細身の男。赤髪を一つに束ねたオッドアイの長身の男。
「元気にしていたか?桜織斗(おりと)よ。」
「えぇ…道長(みちなが)殿こそ、御元気でしたか?」
赤髪の男…摂関政治を目論んでいる藤原道長は桜織斗の問いに微笑んだ。
「そうだ。秀郷殿とは初対面だったな。」
優しい笑みを浮かべながら隣にいる男性に話を促す。
「あぁ…僕は藤原秀郷。これといって特徴のない、ただの男サ。」
「清華(せいか)の長男の桜織斗です。」
軽い会釈を交わす。
秀郷は狐面で表情が読めなくて不気味だ、と彼は思った。
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