*逸話

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 おそらく、屋敷の客人とは彼等だろう。数人の官女が見守っているのがわかる。  桜織斗だって公卿だ。無礼など行わない。 「今日はどのような御用件で我が清華家へ?」 「ああ…人を探しにね。」  道長は相変わらずの優しい笑みで答える。 「女の子って事しかわかってないんだヨ。黄泉ノ國に繋がってる女の子。」  そう言う秀郷に渋い顔をする道長。 「黄泉ノ國って、創り話なんじゃないのですか?」  それに秀郷はふふふと意味深な笑いを漏らす。  狐面の下から囁くように言う。 「…それが、実在するんだよ。キミは知らないかな…花鳥の乱を。」 「庶民の争いでしたっけ?凄い被害だったんですよね。」  あれは何処の話だったか?忘れてしまった。 「そう。庶民の。その争いの逸話が凄いんだ。」  楽しいそうに話すものだから、少し聞いてみようと思った。
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