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「事の発端が、一人の娘だったんだ。美しい娘だったらしいよ。その娘はとある家柄のお嬢様らしい。」
お嬢様ねぇ…と思いながら続きを聞く。
「その娘はね、不思議な力を使えるそうなんだ。人々の傷を癒す力。」
陰陽師じゃなくて?と疑問に思いながら口にはしない。
「後一つ。彼女には黄泉へ行き来する力があった。」
それはまた、不可解な。
「その力さえあれば、黄泉から聖徳太子や蘇我一族の力を得、最終的には世界を支配出来ると考えたらしい。」
それで、彼女を巡って内乱したのか?などと思考を巡らせる。
「…ま、世界は甘くない。だよ…彼女は失踪して内乱は丸く収まりましたと、さ。」
「花鳥の乱については分かった。で、何故貴方はその女を探すんですか?」
その問いには曖昧に笑ってごまかされた。
無論、道長も黙っていた。
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