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因幡 てゐが竹林に仕掛けたトラップの数は、膨大の一言に尽きる。それこそ、立ち並ぶ竹と同じ数仕掛けられていると言っても、もしかすると大げさではないかもしれない程だ。
そんなトラップ達は、普段その多くが機能しないように解除されていた。
当然である。一歩進んだだけで落ちたり吊るされたりするような状態では、自分達の都合が悪い。
それ故に、普段は永遠亭の周りに仕掛けられているトラップだけを生かしているのだった。
その普段は使用されないトラップが使用されているというだけで、てゐの本気度が窺えるというものだ。
「ついでにそれにちょちょいと改良を加えましてね。落とし穴に落ちた奴はもれなく地下に張り巡らされた水路に流されて、この下に運ばれてくる寸法です」
この下、と言いながら足の裏で地面を叩くてゐ。
つまり、今この地下部分にはトラップにかかった影妖怪がいるという事であろうか。
「……それで?」
「そこからは、私の発明したこのポロロッカ君の出番です。水流エレベーターでポロロッカ君の中へ運び込まれた影達は、中で熱処理される訳ですね。そうして殲滅された影があれです」
あれ、と言いながらにとりが指差すのは、箱から立ち昇る黒い煙。
ああ、あれは霧散した影だったのかと納得し。
「……あなた達が、一番とんでもないのかもね」
輝夜の言葉に照れ照れと頭をかいて見せる二人に、彼女は口には出さずにこう思った。
いや、褒めてはいないから。
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