─クレヨン─

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「あら、上手に描けたわねぇ」 「うん! じょうずにかけた!」 少年は幸せそうに頭をなでられながら、にへっと顔を緩める。と……扉を開く音とただいまーと少し間延びした声が玄関から響いてきた。 「あらお帰りなさい……ご飯にするからおかたずけしましょうね」 「はーい!」 味噌汁に火をかけにいった彼女を見送ると、机の上に置いていった箱と目が合った。 少年はそれに手を伸ばすと、教えられた方法でぎこちなく蓋を開く…… 母の色と、父の色。クレヨンをふたつ。
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