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「こんにちは」
カール頭は、ふんわり笑う。
「ここ、よく来るんですか?」
「あ、いやたまたまだ」
「僕はここケーキが好きでね、よく来るんです」
言いながら、ぱくっと一口頬張ると、やはり幸せそうに笑う。
「食べます?」
じっと、見つめていたからか、上目づかいに俺をみながら首を傾げるカール頭。
「あ、いや、んぐっ」
いきなり口の中に突っ込まれた。
口に広がる甘い甘いクリーム。
「……うまい」
「でしょうっ!とっても甘くて濃厚なクリームなのに、全然しつこくなくて、ふわっと軽くて本当に美味しいんだよね」
と、紅茶色の瞳を輝かせて、無邪気に話す。
俺はその姿から目が離せないでいた。
―― 歳は、23、4くらいか?
「もっといる?」
「いや、大丈夫だ」
それよりも!だ。
電車の件、きいてみようか……
「俺、秋月拓海(アキヅキタクミ)」
「え?」
「自己紹介だよ」
なんだろう……会話のテンポが掴みにくい。
「名前、教えて?」
「あぁ……俺は上條哲太(カミジョウテッタ)」
「哲太くんね、いい名前」
年下に哲太くんなんて、呼ばれることがないから、なんだか照れくさい。
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