cream×cream

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「歳は、いくつ?」 「26」 「あ、やっぱり俺の方が年上だ」 「はい?」 いやいや、まてまて。 俺のほうが年上だ。だと?! 「俺ね、32歳」 「はぁっ?!」 「あ、信じてないね?ほら、これ」 差し出してきたのは運転免許証。 ―― 本当に、32歳だ……ありえない。 「自慢じゃないけど、10歳くらい年下にみられることもあるよ」 そうでしょうね。俺もそう思いましたから。 「ここのケーキは、やっぱり美味しいなぁ」 頬杖をつきながら、ふにゃっと笑う秋月さんは、どうみても、32歳には見えない。 なんというか……可愛いって言葉がぴったりなのだ。 「このクリームどうやって作るんだろうなぁ……そろそろ教えてくれてもいいのに。ねぇ?マスター」 頬杖をついたまま、口を尖らせた秋月さんはカウンター視線を投げた。 「マスターは、本日おやすみですよ」 無口そうな青年が答えた。 店員なのに、えらく無愛想だ。 「なぁんだ、マスター休みなのか。じゃあ、代わりに紫音(シオン)くん教えてよ」 「知りません。秋月さんは、ここにくるたびに言ってますね、それ」 「うん。だって知りたいし。ねぇ、哲太くん」 「俺を巻き込まないでください」 ニヘラッと笑う秋月さん。 「毎朝、ありがとうね」 「はい?」 また脈絡もなく新しい会話が始まる。 「満員電車のことだよ」 事も無げにニコッと笑う秋月さん。 俺が話したかったことをアッサリと、それもいきなりぶっ込んできた。
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