序章 大山署

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「くそぉー、あんにゃろう!切りやがった……」 これまた顔を赤らめて叫ぶや、受話器を乱暴に置く中畑生活安全課長。 すると、生活安全1係長のベテラン警部補がイスを180度回転させ中畑に相対した。 「課長! 短気は損気ですよ。 わしらは、端(はな)っから本部は当てにしていません。 課長の気持ちだけで十分です」 「係長、いつもすんません。ご迷惑おかけします」 「いえ、このストーカーを逮捕しないと、被害者は正月もゆっくりできないでしょう。事件を年越しさせられないのは重々承知していますから……」 中畑の気質をよく知る課員たち。 “猪突猛進”で闇雲に突き進む熱血デカ中畑に対し、反発・愚痴をこぼすことなく業務をこなしてくれる。 中畑が言わずとも、ストーカー事案を早期に解決すべき必要性を課員らも理解していた。
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