序章 大山署

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同日午後1時30分。 決裁書類を抱え署長室に入る中畑課長。 署長決裁を受けるのは、ストーカー違反事件に係る逮捕状請求の一件書類である。 「署長、本部の応援は無理だそうです。仕方なかですけん、うちだけで逮捕処理します」 「えっ、応援は来ないって? 私から総務課長に電話しようか?」 「有り難うございます。しかし、あんストーカー対策室は話しになりませんけん、頼むだけ損ですばい」 「それじゃ生安も大変だろう。刑事課長に応援を頼んだらどうだ?」 「刑事課も事件ば抱えとりますけん、警備課長に応援ば頼もうと思っとります」 大山警察署の署員は約100名。 いわゆる小規模警察署の部類に入る。 県都の名城市から100キロ離れた地理的条件もあり、本部特捜班の応援もままならないことも多かった。
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