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奇術、というとあまりなじみがないかもしれないから、あえてこう言おうか、マジックだ
マジック。種も仕掛けもある人工的な嘘っぱちなだまし絵のような、魔術
科学とか理論とか論理とか錯覚とか嘘とか話術とか、そういうのを使って他人を欺き嘯きだまくらかす、なんというか、善人には向いていない職業
とかなんとか、そんな風に言えば奇術師の人たちからバッシングを受けてしまうかもしれないけれど
結論的には、人をだます職業だ
観客は騙されるためにお金を払い、騙されることで喜ぶ
奇術師は騙すことでお金をもらい、騙すことで優越感に浸る
歪んだ関係だと思う
ぼくの場合、父親が奇術団の団長だったから、奇術の道に進んだけれど、この歪んだ関係が好ましかった、というのもあると思う
歪み、ひずみ、曲がり、捻る
そんな関係が、実のところ、嫌いじゃなかった
トリックで人をだますのも
種がばれないか、というスリルも
ぎりぎりの綱渡りのような派手なスタンドプレーも
全部、好き好んでやっていた
と、思う
騙すのが好きで
騙るのが好きで
嘘をつくのが好きだった
たぶん。自分で自分の本心に嘘をついていない限りは
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