◆嘘つきと異世界◆

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「・・・・・・、・・・・・・うわっ」 起きたら変なところにいた あれ、おかしいな、うん、ぼくはさっきトラックに轢かれて鳥のように宙を舞い無様にコンクリートの地面に叩きつけられて骨がへし折れて頭蓋が割れて、つまりは轢き殺されたんじゃなかったっけ? 周りを見渡すと、質素な部屋。アパートの一室にも見える。というか、ぼくは中学生だからわからないけれど、きっと学校の寮とかこんな感じなのだろう 不思議と、そう思った ぼくはソファーに横たわる姿勢で、上にはタオルケットがかかっている。親切だ 部屋を見渡すと、テレビとかゲーム機とか、なんだかんだで結構裕福な人が、この部屋の主なのかもしれない ソファーから降りてみる ぼくの服装は、死ぬ直前と同じパーカーにカーゴパンツ。パーカーは一部血液で赤黒く変色しているが、どこも破れてはいない。なかなかかたい生地だ 手足に損傷なし。頭蓋も割れてない。肋骨も無事。背骨も大丈夫だ 身体に異変なし だが、この場合は異変なしが一番の異変だった なんせ、トラックに轢かれたのだ ずがぁっと ばーっん、みたいな爆音が聞こえたのも覚えている
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