非日常への入り口

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それにしても後悔という言葉をよく耳にする時代だ。 何の才能にも恵まれず、生まれつきクソ野郎だった俺に、後悔なんてする余地もなかったが、今思えば青木さんとの出会いがそれに当てはまる。 あの人に会ってからの人生は、より一層クソに近づいたと思う。 なにされたかなんて、あれこれありすぎてもう… 俺はゴミに埋れたサイフを手に取り、空っぽの中身を覗いた。 502円… 当然と言えばもちろん。 むしろ仕事もしてない俺に、500円という大金があることに驚きだ。 グダグダしている暇はない。 俺は、どれぐらいぶりかも忘れた部屋の外へ飛び出した。 バタバタと大きな音を連れ、一階に下りると、ババアの鞄を探す。
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