非日常への入り口

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どうやら人間ってのは痛みに慣れてくるらしい。 どんな痛みでも、それを浴びるように感じていれば、感覚が麻痺してくると、何かで見たことがある。 それが本当だったと、今日俺は自分の体に教えてもらった。 満身創痍とはこのことか。 重い体を無理矢理起こし、家へ向う。 途中、路駐していた車のミラーを鏡替りにして、自分の顔を見てみたがアザだらけで笑えなかった。 あの野郎。ぜってぇ許さねぇ。 ようやく家へ着くと、顔を見られないよう、足早に部屋へ戻った。 同時に、クソババアの声も連れて。 「淳ー?!またお母さんのサイフからお金取ったでしょ?!家族内で、そんな泥棒みたいな真似はやめて!!言ってくれればお小遣いあげるから!!ウチ貧乏だけどさ?淳が困るならお母さんお金渡すから…ね?」 「うるせぇババア!!引っ込んでろ!!ぶち殺すぞっ!!」 「…」 「…?」 「淳ー?…私ダメなお母さんかなー?」 俺は何も言わなかった。 色々理由はあったけど、1番の理由はめんどくさいだ。
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