非日常への入り口

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いつものように昼を過ぎてから目を覚ますと、外の轟音が今日は雨だと俺に教える。 まあ、別に雨だろうが晴れだろうが、俺には何の関係もないこと。 外へ出掛けるわけでもないし。 強いて言うなら、地面を叩きつける雨の音が耳障りなことぐらいか。 タバコをくわえて、ゴミで埋もれた部屋の中、手探りでライターを探す。 すると、これまた耳障りなノック音が俺の耳に入った。 「淳【アツシ】ー?おきてる?ご飯買ってきたよ」 「…あぁ。おいといて」 「ねぇ淳?…たまにはさ、お母さんに顔を見せ…」 「うるせぇなあっ!!そこおいとけってカス!!」 「…ごめんなさい」 この弱弱しいクソババアの態度にも、虫唾が走る。 よくドラマでみかける「本当は叱ってほしかったんだ!!」とかいうアホ息子じゃないが、親の情けなさがどーも勘にさわるんだ。
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