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次の日も、昼過ぎに目が覚めた。
いつものように…ではない。
いつもなら鳴らない携帯のバイブに叩き起こされた。
慌てて携帯を手に取り、画面を見てみれば
『青木さん』
と表示されてある。
深いため息が出た。
青木さんとはニコニコ挨拶してご飯に行く仲ではなかったからだ。
…まじかよ。
悩んでいる暇なんてない。
電話に出なければ、後々痛い目を見るのは俺だ。
重たい親指を通話ボタンの上へ乗せた。
「…もしもし?」
「もしもしじゃねーぞタコ!!どんだけ待たせるんだクソ野郎!!」
「す…すいません!」
「…お前どーせ今暇だろ?用があるんだわ。2万持って東駅の前に来いよ、分かったな?5分ぐらい待ってやるから」
「あ…あの、でも…」
最後の言葉が青木さんに伝わったかどうかは知らないが、俺の耳に入ったのは『ツーツー』という電子音だった。
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