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美波は、小夜が拓也に好意を持っていることは承知のはずである。
だったら美波は。
小夜に拓也を盗られたくなくて殺したのか?
曖昧で決定的な証拠も無いのに、それが小夜に美波を許させないのだ。
美波は過剰なくらいに小夜と仲良くするが、それは本当なのか偽りなのか。
小夜は頭を悩ませていた。
「ねえ小夜ちゃん。次は焼きそば食べようよ!で、後でさ私の家に来ない?久々に人生ゲームしたいな」
「拓也くんの家……」
「え、小夜ちゃん今何って言った?」
「ううん何でもない。分かった、そうしよう」
「わぁっい!焼きそば焼きそばルンルン」
軽やかなスキップをしながら美波は小夜の前を行く。
美波の家。
それは拓也の家。
いけないと思いながらも、小夜は胸の鼓動を抑えられずにいた。
例え居なくなってしまっていても、好きな人の家に行くのは嬉しい。
半ば、寂しいけれども。
何気なく小夜は、母親が貸してくれた浴衣の綺麗な模様を眺めた。
「小夜ちゃーん?早く行こうよっ」
美波は跳びながら小夜に手を振る。
「ごめん、今行く!」
慌てて小夜は美波のもとに駆け寄った。
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