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「卒業生の皆さん、ご卒業おめでとうございます」
校長先生が私達の方を見渡しながら喋り始める。
その声に混じって、どこからか聞こえる誰かの啜り泣くような声。
会場の空気が少し重苦しい。
今日は中学校の卒業式。
そして私、南 杏奈(みなみ あんな)は卒業生だ。
もう卒業か……。
思い返すと、この三年はあっという間だった。
私は校長先生の言葉を聞き流し、ありふれた沢山の思い出に浸る。
楽しいこと、辛いこと、数え切れないほど色んなことがあった。
そんな中でも一番の思い出はーーーーー大好きな彼。
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