卒業

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何か話せるきっかけないかな? 私は考え込むように右手を顎に添え、視線を下に向ける。 すると、視界に制服が入った。 あ、そうだ……! あることを思い出した私は、咄嗟に俯いていた顔を上げた。 この学校の制服は、ブレザーではなく今の時代からは遅れているようなセーラー服と学ラン。 確か、去年出席した卒業式で、先輩が男子から第二ボタンを貰っていたような……。 うん、それ良い! でもいきなり全然喋ったことのない私に「第二ボタン下さい!」なんて言われたら、藍沢君に変に思われたりしないかな……? それに、もし断られたらどうしよう…。 やる前からもう悲観的な私。 それでも、こんな機会はもうない。 私は緊張から汗ばむ手を、ギュッと握り締めた。
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