珈琲

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 上司と約束したのに。  上司との約束が私の中で軽かった。  そう思われてしまった。  軽かったわけじゃない。  一生懸命接客しなきゃって、目の前の人を好きになろうって。  それが私に出来る精一杯だった。  だから会社のことなんて、上司との約束なんて二の次にしてたのも事実。  こんなに悔しいのに、こんなに辛いのに泣けない自分にまた悔しがって。  1年前の私ならすぐ泣いてたのに、涙が乾いて流れない。  その代わり、胸がカラカラして虚しい。  どうしたらいいんだろうってタバコをもう1本。  火を付けても答えなんて出てこない。 piiiii.  ケータイが鳴って父にモーニングコールを頼んでたのを思い出して出る。  いつものやり取り+愚痴。  また7時に掛けてもらうようにして切った。  好きな音楽を聴いても、tvの音も流れてるだけ。 「はあ、どうしようもねえな」  溜息を零して、またコーヒーを作ろう。  私のお城でゆっくり飲もう。  今度はコーヒーの粉を多めで、濃い目であと12時間!  まだまだ長いから。  今日も出会う大好きな人達に恥じない自分でいるように。  しっかりしなきゃ。  子供はやめる。  シビアに、もっと仕事を愛して、人を愛して、出会いに感謝して。 「頑張ろう!」  気合いを入れてから私はお風呂に入った。
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