一枚目 恋人へのメッセージ

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    一  あれからもう、何年経ったのだろう。彼女が亡くなったのは。  あの日、友達に誘われて、山登りに行ったのだけは覚えている。彼女といい景色だねって行って、一緒に歩いたのも。でもある時、俺は、些細な事で、彼女と喧嘩をした。俺が通りすがりの女性に色目を使ったって、彼女が言い出したからだ。  気のせいだって言ったんだけど、彼女は、耳を貸さなかった。そしてまた、俺が、今度は別の女性に色目を使ったなんて言い始める。  俺はその言葉に激怒した。俺の事が信用できないのかって、彼女に言ったりもした。だが彼女は、何も言おうとしない。何で言おうとしないのかは、俺にもわからない。だから余計、彼女の事がイライラして、仕方なかった。 「いい加減にしろ」  俺は思わず、彼女の事を殴った。平手打ちで。彼女はその場で泣き崩れていた。大きな声で、泣き叫んでもいる。その様子にビックリして、周りに人が集まってきた。
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