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一
栄一様、覚えていますか。藤堂晴海です。あなたの婚約者だった。
覚えていなくても、何の不思議もありません。だって、あの日からもう、二十年以上も経ってしまったのですから。
あなたはあの時のまま、変わらない姿でお過ごしでしょうけど、私はもう歳を取って、昔みたいな華やかさは持っていません。
ですから、あなたは私の姿を見て、ビックリすると思いますよ。私だって、こんな姿になるなんて、思っても見なかったんですから。
あなたにまた会いたいわ。今、どのあたりにいるのかしら。教えてくれますか。
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