18、脳

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 昨夜、私が帰った時にはアパートの明かりが点いていた。  ……そうだ、結局母さんにメールしてないや。  心配かけたかも。  母がどんな顔をしているのか想像すると気まずくて、ドアを開けることを少しだけ躊躇った。  でも、もうどこにも行くアテは無い。  京子も、愛紗美も、沙理もいない。  大滝にはもう頼れない。  クロも。  思い切ってドアを開けると、「ただいま」と言うより先に母が駆け寄ってきて、そのまま私のことを抱きしめた。 「え、え?母さん?」
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