11390人が本棚に入れています
本棚に追加
久しぶりに会った母。
小柄で、つぶらな瞳の彼女は実年齢より若く見られがちだけど、血管の浮いた華奢な手を見れば、彼女の重ねた苦労が伝わってくる。
父と別れて以来、彼氏を作ることも無く、私をたった一人で育ててくれた母の手。
その細い指で携帯を弄びながら、何と切り出すか言葉を選んでいる様子だったけれど。
不意に私を真っ直ぐに見つめて、無理矢理口角を上げ、こう言った。
「今日ね、電話があったの。
……お父さんから」
……え?
父さんから、電話?
最初のコメントを投稿しよう!