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宿直室で論文を読むナミ。今夜はやけに長く感じる。石嶋がつき合っている相手が希久美であることに少なからぬショックを受けていた。希久美は親友だから、なおさら親友の付き合っている男と恋愛なんかできるわけない。でも、希久美は石嶋をどう思っているんだろう。石津先輩とばかり言い争っていて、石津先輩と居る時には石嶋が眼中にないような気さえする。そういうわたしは、自分は石嶋とばかり言い争っている。冷静になろう。そう私は医師なのだから。そんな考えにふけっていると、携帯が鳴った。相手は希久美であった。
「ナミ、私決めたわ。協力してくれる。」
希久美から聞いた協力依頼内容にナミは度肝を抜かれた。
翌日の夜、病院に元女子高生3人組が集結した。希久美の装いを見たナミが感嘆する。
「懐かしい…。10年前の制服なんて、良く持ってたわね。」
ナミと肩を組んで希久美の制服姿を見ていたテレサも会話に参加する。
「それに、高校の制服がまだ着れるんだ。」
「日頃のエステとジムの成果かしら。」
ナミがため息をつく。
「あーあ、私は絶対無理。背は変わってないけどもうウエストなんかとんでもない。」
「私はまだ着れるわよ。」
テレサがあごをつんとあげながら、さらに自慢を加え始めた。
「でもなぜか、胸だけがきつくて…。あのころに比べて大きくなったのかな。」
「あんたの場合は男に揉まれ過ぎよ。」
「ちょっと失礼じゃない。」
「でもさ、テレサも高校の制服を着ることがあるの?」
「彼氏の中に好きな奴がいてね…。」
希久美とナミが吹き出す。慌てテレサがふたりの口をふさぐ。
「ちょっと静かにしなさいよ。ここは病院でしょ。」
「でもさ、私も来る時大変だったのよ。コートで隠してはいるものの、ちらちら見えちゃうから、オヤジどもにじろじろ見られちゃって…。絶対コスプレの玄人だど思われてるわよね。」
「コスプレを楽しむには、コツがあってね…。」
テレサの解説を希久美が遮る。
「テレサ、んなぁ事はどうでもいいの。お願いして来たもの持ってきた。」
「はい、インタービュー用のインカムとレシーバ、イヤホン。」
希久美が受け取ると、今度はナミに向って言った。
「ナミの方は?」
「病室を個室に変えといたわ。本人は不思議がっていたけど…。それに、さっき静脈麻酔打っておいたから、今本人は朦朧としているはずよ。たぶんからだも自由に動かせない状態。」
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