オキクの復讐

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 チイママはしばらくヒョッコ3人娘を眺めていたが、またグラスを置いてしゃべり始めた。 「いいわ。今夜は暇だから特別に教えてあげる。」  4人はテーブルの中央に頭を寄せた。 「いかに美しいニューハーフとは言え、相手はわたしがもともと男だったことを知ってるわけでしょ。」 「うん、うん。」 「だから、いきなり迫ったら失敗ね。ゆっくり、はいずって、なめるように、ステップを踏んでアプローチしていくの。」 「みんな、メモよ!」 「まず、ステップ1。お互いを下の名前で呼び合うようにするの。シンプルだけど自然と親しくなるいい方法よ。親しくなると相手の男は、ニューハーフを女と言うよりはいい友達として見るのね。いくら女の姿をしていても、まさか自分が元男に惚れるわけない。実はこの『絶対あり得ない』という気持ちが、あとあと落とし穴になるのよね。」 「うーん…わかる気がする。」 「次に、ステップ2。お互いに共通で出来る作業を作るの。私たちがよくやる手は、部屋の模様替えとか引越しの手伝いをお願いするの。ニューハーフだから力がなくて重い荷物が持てない、なんて甘えてね。ここだけの話だけど、全く嘘よ。いくらニューハーフでも筋肉だけは男を捨てられないの。その辺の男よりよっぽど力があるわ。」  三人娘は、力こぶを作るチイママの上腕筋を眺めた。テレサが吐きそうな顔して目を逸らした。 「えっと話を戻して…。そうすると自然にふたりだけの時間が作れるようになるのよ。この自然と、と言う感じが重要なの。」 「だんだん、獲物が近付いて来た感じですね。」  ナミが誰よりも身を乗り出して言った。 「そうよ。」  チイママは、乗り出してきたナミの額に手をあてて押し戻す。 「そして、ステップ3は相手の私生活に触れること。相手の私生活に触れることによって、『親しい友達』が、『特別な友達』に変化するの。大切なことよ。」 「そうか…。」 「これはいろんなやり方があって、例えば…引越しのお手伝いのお礼に彼の家に食事を持っていくとか。彼の友達の集まりに同行するとか。極端な例では、彼の奥さんやお子さんにお会いするとかの例もあるのよ。要は、相手の気持ちや状況に合わせて臨機応変に方法を見つけることね。」 「なんか、怖くなってきた…。」 「いよいよ仕上げよ。特別な友達になったところで、一瞬自分の弱さを見せるの。」 「弱さ?」
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