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「ああ、紹介するわ。石嶋さん、こいつはテレサと言って高校時代からの悪友です。テレサ、こちらはユカちゃんのパパよ。」
「あなたがユカちゃん自慢のパパですか…。はじめまして。」
「どうも…。でも、人見知りのユカが、なんでそんなに慣れているのか不思議だ。」
「ユカちゃんとは、会った瞬間からもうマブダチです。でも、マブダチだと思っていたオキクからは、石嶋さんのこと一切聞いたことないんです…。どういうご関係かしら。」
「嫌味ねぇ。石嶋さんは、お義父さんがいる会社の方で…。」
言い淀む希久美に石嶋が付けたす。
「青沼さんのお義父さんのご紹介で、お付き合いさせて頂いています。」
「ご紹介でお付き合いって…お見合い?」
テレサは改めて希久美の顔を見たが、希久美はそっぽを向いていた。
「あなた私たちに内緒で、なに堅気なことやってるのよ。」
「堅気って…、何をおっしゃっているかわかりませんわ。」
淑女を気取ってとぼける希久美に、テレサが鉄杭をくらわす。
「ヒロパパ、こいつはユカちゃんの前に出せるような善良な女じゃないんです。裏で男を懲らしめるために数々の陰謀を張り巡らせている残忍な女なんです。」
「あんた、この席でその遊びはやめて!忙しいんでしょ。帰ったら。」
慌ててテレサの首を締めて口を封じる希久美に石嶋が笑って制止する。
「いやいや、今日は自分も内側の事情を初めて青沼さんに披露しました。今度は青沼さんのいろいろなことを知りたいな。どうぞ、テレサさんご一緒して青沼さんのことをお聞きかせいただけませんか。」
「テレサ、あんた、なに勝手に座ってるのよ。早く帰りなさいよ。」
「いや、せっかくのヒロパパのお誘いを断るわけにいかないし、ねぇーユカちゃん。あらあら、今日も可愛いわね、また髪を編んであげましょうか…。」
「あんた、余計なこと言ったら絶交よ。お義父さんも知らないようなこと知られたら、私は一生石嶋さんの奴隷になるしかなくなるわ。」
「それはそれで、魅力あるな…。」
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