オキクの復讐

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 ナミはなぜかティアラと宝石に飾られたドレスを身にまとい宮殿で王子と踊っていた。彼女を軽やかにリードしている王子の顔を見て驚いた。石嶋であった。この楽しい時がいつまでも続けばいいと願っているその時、宮殿の大時計が深夜零時を告げる。その鐘の音を聞くとナミは、理由もわからず、ただ戻らなければならないと思った。石嶋の手を解き必死に宮殿の出口へ駆けだす。石嶋は、ナミの後を追いながら、行かないでと必死に訴えている。どこに戻らなけばならないのかわからないが、ナミはそれでも戻らなければならないという強迫観念に襲われていた。石の階段を駆け下り、途中で石のくぼみに足を取られた。危うく倒れそうになりながらも、必死にこらえてなんとか待ち受ける馬車に飛び乗る。石嶋は宮殿の門に呆然と立ちすくみながら、立ち去る馬車をいつまでも見送っていた。ナミは、馬車の中で自分が悲しくなった。しかし、この展開はどこかで聞いたことに気付く。そうだ確かこの展開はハッピーエンドになるはずだ。安心して馬車のシートに深々と腰掛ける。リラックスしたナミは、美しいドレスを着ている自分の姿を眺める余裕さえできた。しかし足元を見て愕然とした。ハッピーエンドになるための決定的要素が欠落している。ナミの靴が両足とも無事におさまっているのだ。これじゃ私を探せない。慌てて馬車を飛び降り宮殿に戻ろうとするナミ。しかし彼女のドレスをネズミの従者たちが引っ張っていて身動きができない。もがいているうちに目が覚めた。ナミが周りを見回すと見憶えのある子供部屋のベッドにいた。そしてナミの服を引っ張っているのはユカだった。  ユカに手を引かれて、階段を下りるとリビングに、新聞を読みながらジャージ姿の石嶋がいた。 「ユカ。ナミ先生を起こすなって言っただろ。すみませんナミ先生。ゆっくり寝られなくて。」 「いや、わたし…。何でユカちゃんの部屋に居たのかわからなくて…。」 「そうですね。ナミ先生を迎えに行った時は、もう酔い潰れていらしたから…。先生もあんなに飲むことがあるんですね。」  ナミは、テレサと飲んでいた事を思い出した。 「恥ずかしいわ…。」 「ナミ先生の家も知らないし、ご迷惑だとは思いましたが我が家へお連れしました。我が家にはゲストルームが無いもんで、ユカのベッドでお休みいただきましたが、窮屈でしたか?」  ユカが楽しそうにナミの身体に抱きついてきた。
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