ドナリィンの恋

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 ミミに呼ばれて、マムが画面に登場してきた。 「Mainit ba dyan o maginaw ? Kumain ka na ba? (暑いのかい?寒いのかい?ご飯は食べたかい?)」  マムの質問攻めに、ドナはひとつひとつ丁寧に答える。 「Dona! I miss you! (ドナがいなくて、寂しいよ!)」  今度は、幼友達のドミニクがウェブカメラに乱入してきた。彼はドナと同じ年の青年で、家が近く、小さいころから家族同然に育った。少々乱暴で街でよくトラブルは起こすが、ドナにはいたって従順だ。 「Dominc. Salamat sa paghatid sa akin sa airport. Pangako mo sa akin. Hindi mo pababayaan sila Nanay. (ドミニク。空港まで送ってくれてありがとう。空港で約束した通り、私が居ない間は、ちゃんとママと妹の面倒を見てあげてね。)」 「OK! Sige ako na bahala sa kanila wag kang mag alala.(オーケー、ちゃんとやるよ。) 」 「Kumusta si Norminda ?(ノルミンダは元気かい?)」  マムの問いに、今度はドナのウェブカメラに、叔母が登場する。 「Mabuti naman!(元気ですよ!)」 「Medyo tumaba ka ah?(少し太ったんじゃないかい?)」 「Masarap siguro ang mga pagkain dyan. Patatabain ko rin si Donna wag kang mag alala. OK, mag hahapunan na kami mamaya na lang ulit tayo mag Skype. (日本はご飯がおいしいからね。ドナも太らせて帰すから安心して。さあ、晩御飯だからスカイプはまた後で…)」 「Love you !」  相互にそう言いあって、PCをシャットダウンする。いよいよドナの日本での生活が始まった。  短期体験留学は、少学生化に悩む私大が推進しているグローバル教育プログラムだ。このプログラムへアジアの様々な国の若者たちが参加していた。大学は早速ルーキーの為に恒例のウエルカムパーティーを催した、これはクラスメイト達の親睦を図ることが目的だった。大学でのパーティーが終わると、クラスメイトの先輩はドナを六本木のクラブハウスへ誘った。ドナは最初断ったが、結局同行を了解することとなる。門限時間を守るようにノルミンダから言われているにもかかわらず、はじめての海外生活に、好奇心が勝ったようだ。
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