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雨綺が任務に就いていたのは知っていた。そして今日の降水確率が70%だったことも。
さらに言えば、天気予報を見忘れたと曇天の空を見上げる雨綺に「今日は降らねぇってさー♪」と声をかけたのも黒須だ。
全部全部予想通り。
「ハァッ…ハァッ…黙れ駄犬。てめーの言う事なんて二度と信用しない…」
普段は黒須と対等に殺伐としたじゃれあい (世間一般では殺し合いとも言う)をしている雨綺であるが、彼女は過去のトラウマから雨と雷を毛嫌いしている。
黒須がそれを知ったのはたまたま能力の中に雷を持っていた黒須がそれを使用した際であったが、気高く女であるよりも男のような強さを求める雨綺があの瞬間ただの幼い少女のようになって震えだした時の嗜虐心にも似た興奮は黒須の中に確かに火をつけた。
「苦しそうだねー雨綺ちゃん♪まさか雨が降ってくるなんてなー?」
「ゼェッ…殺す…、知っていたんだろう」
「あっははは♪雨綺ちゃんてばこわーい♪」
呼吸も荒く震えながら身を抱える雨綺の姿に黒い黒い欲望が渦巻く。
それは恋愛感情などと言う生温いものではなく、与えられた玩具を前にした子供の如く。
遊ぶだけ弄び飽きたならゴミのように捨てれば良い。 ただ、震えながら真っ直ぐな殺意を向けてくるこの少女にはなかなか飽きる気がしない。
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