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どうやら俺は疲労に敗けてしまい眠ってしまったようで、あの出来事は全部夢だったみたいだ。
…………夢でよかった。
周囲を確認すると焚き火はすっかりと消えていて、そのため残念ながら未だに服は濡れているために寒いし気持ち悪い。体の疲れはとれても精神的な方はまだ時間がかかりそうだ。
悲鳴と同時に起き上がっていた俺は目を覚ますために立ち上がり腕を挙げ背伸びした。体の所々で小さく骨が鳴って地味にスッキリして気持ち良かった。
「うぅーん……よしっ!とにかく状況把握のためにも下山しないと……」
ここが何という山なのかを調べなければ町へ帰ることはできない。転移魔法を使用できたら楽なんだけど、正直俺は苦手だ。
というわけで歩いて下山。なにか目印とかあれば楽なんだけど…………あ。
「…………」
「…………」
昨日の女の子だ。たしか、ムラサキナズナさん……だっけな?夢の中では散々叫んでいたのになんて曖昧な記憶だ。
両手を背後に尻餅をついて俺を見上げる彼女は、せっかく再会(?)したというのに疑いと驚きの眼差しを向けていた。
どが付く程のエム体質だったら歓喜するだろうけど、俺は至って正常の心。だからやめてください心が痛いです。
「や、やぁ……」
取り敢えず肩まで手を挙げて微笑んでみた。今この瞬間が夢の続きだったら怖いから確認するためとかそんなんじゃないから。
「き、昨日はぐれちゃって心配したんだよ。どこも怪我してない?」
「……」
……あれ?
「ど、どうかし――」
「うわああぁぁぁぁぁ!」
その体勢のまま背を向けられ地面を這いつくばりながら逃げられた。心が痛くて泣きそうだけど昨日の子で間違いないのも事実。けど涙はしょっぱかった。
「いや、あの……待って……どうかお待ちください!お願いいたします!」
這いつくばって逃げてるため追いかけるのにはさほど問題ない。ただ近づいていくごとに視界がぼやけていきそうだ。
……。……べつに泣いてないし!悔しくないし!
誰かに言うわけでもない。けど思っていないと心が耐えきれなかった。
「よっと、追いつい――」
「うわあぁぁ!ご、ごごご、ごめんなさい!昨日の事はわざとじゃなかったんです!許してください!」
「…………」
あぁ、ぼやけて空がよく見えないや。
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