妖怪と魔女と俺と

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なぜ、と尋ねるかどうか迷った。 躊躇いがあるのは彼女たちようかいの知識を持たないためまた余計な問題を起こしてしまう可能性もあるからだ。無駄に驚かせたり追いかけ回したり、余計な一言で落ち込ませたり悲しませたり、結構やらかしちゃってるな。 「なら尚更心配ないよ。キミはどんな人間とだって仲良くなれる。自信持ってでも言える」 「え、えぇー!そ、そんな、む、無理だよ出来ないよ!」 「キミは俺、というか人間と接しているにも関わらず今でもここにいるし何度も助けてくれたでしょ」 「だ、だから、あれはキミが異世界の、に、人間さんでって言ったじゃないか!」 「けどさ、湖で溺れるまでそれは確証に至ってなかったでしょ?あと、俺はスウェラ・ディ・フスティシアだよ。ムラサキナズナさん」 「え、ぁ、やっ、な、名前は、ダメだよ!河童なんかが、に、人間さんの名前を気安く呼んだら、な、仲良くなれないよ……」 「いやいや、仲良くなりたいから名前で呼ぶんでしょ?他のようかいは名前を持たずかっぱとかの人種で呼びあってるの?」 「も、持っているのもいるし、普通に名前で呼びあってる……」 「なら世界観関係なく人間の俺とも名前で呼びあったり仲良くなれたり出来るでしょ?」 「に、人間さんは特別なの!人間さんは河童の憧れだから、気軽に接したら、に、人間さんの迷惑になっちゃうよ!」 「え、そうなの?」 「そ、そうだよ……」 「あ、なら俺は迷惑じゃないし友達だ。友達第一号だね」 笑って言うと、どうしたことかムラサキナズナさんは固まってしまった。手を目の前で振っても無反応。 「お、おーい、ムラサキナズナさーん?気をしっかりー」 「……っぅぐ……うぁっ……」 声をかけながら肩を揺すってみるとなんだか怪しい雰囲気。え、ヤバいスイッチ入れたかもしれない。 「ぅぁ……うわあああぁぁぁぁ……ぁぁぁん……!」 「え、えぇー!」 な、泣き出した!なに!なんでどうして!まずいことでも言ってしまった! 「ご、ごめん!よ、よく分からないけどごめんね!い、嫌だったよね?俺が怖かったよね?」 「ち、違っ、ちが、うの。ち、違うんだよ、に、にん、げんさん。う、うれ、しくて……うわあぁぁ…ぁぁん!」 「う、嬉しくて?ご、ごめん、さっぱりなんだけど」 「だ、だって…だってだって…と、とも…友達って…うぐっ……友達だって……は、初めて、いわ、言われて……」
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