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な、何事!?
抵抗する事ができずに水中に引きずり込まれてしまい頭が混乱した。
たいして深くもない河だったのに、必死に水面に上がろうと泳いで抵抗するけど足は力強く掴まれていて水面に出ることができない。むしろ水中に引っ張られて息ができずに苦しくなってくる。
た、たすけっ……!
思った瞬間、グンッと勢いよく下に引っ張られ、背後から手を回されてしがみつかれた。なんだか抱擁感があったが気にしてられない。
まさか、こいつにさっきの子も!?だとしたら早く助けないと!
自由な左手を振り上げると魔法陣を展開させた。
(【吹き荒れろ】)
水中で叫ぶ。声にはならなかったが、魔法陣に魔力は伝わり輝いた。水面上空では風が吹き荒れ大気を揺らし、小さな塊へと変わっていく風を水中から魔法陣と魔力を通して感じる。
落ちろ!
大気の塊となった風は河の中央へ向けて落ちた。
「ぐぅっ!」
大気の塊は水中で爆発するように弾け、その衝撃は狙い通り俺と何かを襲った。だが衝撃によってそいつは俺から剥がれて水面に吹き飛んだ。
俺は水中に落ちたけど今は何もいない。息苦しさを耐えながら河岸を目指して泳いだ。
「ぶはっ!」
水面から飛び出るように出てきた俺は闇雲に河岸の草などを掴んだ。呼吸が荒く何度も咳き込む。口から水を吐き出し体に水が入った痛みで涙が出てきた。
「あぁもう、早く助けないと……」
今度は気をつけて潜るために軽く深呼吸。呼吸できずに出てきた胸の痛みえを耐えながら潜ろうとした。
「うぅ……」
岸の先から声がした。そこに目をやると誰かが倒れているのが見えるが、もう光はなくなっていて誰かまでかは分からない。さっき引っ張った奴か、あの子かなのか。
確認するために警戒しながら河から這い上がった。
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