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崖はそこまで大きくなかったもの、真っ暗なため着地地点が見なく、その上色々とあり頭が混乱していたため着地どころか崖を滑り落ちてるのに対応できなかった。
尻餅をついて地面に到着。
「あいたたた……」
身体中泥だらけ。愛用している学園用の白色のローブも恐らくは泥まみれで元の色なんて分からないだろうな……。
見知らぬ森へ飛ばされたと思ったら何者かに襲われて、助かったと思ったら彼女に怯えられて、追いかけたら崖を滑り落ちて無惨な姿に……。
「あの子、大丈夫かなぁ?」
ここまで酷い目に遭えばさすがに見失っただろう。体は寒いし痛いし心も痛くてテンションも下がるし全てに対してやる気が出ない。
今できるのは彼女が無事であることを祈るだけ。俺は夜が明けるまで下手に動かずここで過ごすだけ。
……あぁ、学園が恋しいなぁ。
だいたい誰があんなことをしたんだ。お陰様で酷い目に遭うしあの子を危険な目に遭わせるし、学園に帰ったら先生に頼んで調べてもらおう。
立ち上がると明かりを照らしそこらに落ちている木の枝を拾い集めた。落ちてきたところに戻るとそれを束ねて一つにまとめる。
「【灯せ】」
小さな音をたてて木の枝に火がついた。心身共に疲れてても魔法が使用できないことはなかった。
小さな焚き火となったそれは暖かく心を癒す。なんか人生終わってもいい気分、それくらい癒えそうだ。
それに疲れが溜まってて今にも眠りそう。……いやいやいやいや、寝たらこの危険な森で無防備になってしまう。
「頑張れ俺ぇ……」
ガクンガクン頭を揺らしながら呟くが眠気にはどうしても勝てない。だが寝てしまえば一貫の終わりとなってしまいそうで怖い。
目が覚めるような何かよ起きろぉ……。
………………
…………
……
さよなら現実、おはよう夢の世界。
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