妖怪と魔女と俺と

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ガクンガクンと眠さで頭を揺らしながらも焚き火を消さないように火を調整しつつ周囲の警戒は怠らなかった。サバイバルではないけど森の中で一人で一夜を過ごすのは正直怖いの一言。 だって道具も食料もなしで、それにここは見知らぬ森。疲労もたっぷりと溜まっていて眠気もひどい。 ここは眠るのが一番なんだけど見張りもいず、たった一人で寝るなんて無謀すぎる。どうぞ食べてくださいって魔物に言っているようだ。 「あぁ、朝日がもうすぐで見えるはずだ……」 眠くて正しい判断ができない。あと少し、あと少しと何があと少しだと自分にツッコム自分がいる。夜はまだまだなのに……。 「しかしあれだ……」 さっきからガサガサと茂みから音がする。ムラサキナズナさんかな、と考えてた俺は甘かった。だって複数からするもん、音。 獲物を見つけた獣か魔物か知らないけど、そんな焦らしやめてよ。いつ襲ってくるか分からないしすっごい怖いじゃん。やだよ、俺を食ったって美味しくないよ。今汚れだらけだし絶対お腹壊すって。 泣く泣く警戒してると、遠くで音がしたと思ったら木の上からしたり、目の前から音がしたと思ったら突然左右からしたりさ、狩る気満々だよ、この子たち。 絶体絶命ってやつ? 一度魔法を放って牽制してみたが効果なし。むしろ刺激して石や何やら投げ返されて、ギリギリで避けれたものその石は背後の崖に大きくヒビを入れていた。 あれ以来攻撃や牽制はしてない。だって下手すれば死ぬでしょ。防御魔法はまだ上手くできないし、相手が何匹いるかも分からなければ動けない。 「ヘックッシュ……!」 寒くてくしゃみが出た。 「ぎゅわぁおおぉぉぉ!」 変な鳴き声と共に茂みのあちこちから出てくる魔物たち。猿のような姿。 しまった、襲いかかる合図をしてしまった。
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