魔王城の決戦

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 触手相手に、一瞬足が止まった時だった。  目の前に虹色の光弾が向かってきていた。 「甘い!」  ばちん、と音をたてて光弾が破裂した。後ろで構えていたカイトが魔法でそれをねじ伏せたのだ。 「勇者にばかり気を取られている場合じゃないぞ、魔王」 「カイト、ナイス!」 「突っ走れクロム。魔法のダメージは気にするな、俺が全部打ち消す!」 「わかった!」  触手を薙ぎ払ってオレは進む。ものすごい数の魔弾が飛んできていたが足を止めたりしない。だってカイトが守ると言ったんだ。失敗なんてするわけがない。 「父さんと……母さんの仇っ!」  魔王に肉薄し、剣を振り下ろす。  両断されて、魔王の体はぐずぐずと崩れ始めた。 「わ、我の……我の体が……っ、うおおおおお」  回復しようとうごめく魔王を、カイトの魔力が拘束する。オレは更にその首を切り落とした。 「おおおおのれおのれおのれ……呪ってやる……呪ってやる……!」 「だから、呪いはきかないって言ってるだろ?」  オレは魔王の頭を見下ろす。魔王は恨みがましくオレを睨んだ。 「呪えない……呪えない……ならば……お前を『祝福』してやろう」  にんまり、と魔王が口元をゆがめた。 「何っ?!」  魔王はちらりとカイトを見て、それからバカみたいに笑い出した。 「そうだ、『祝福』だ! お前に、お前たちに幸福あれとな!」  闇とは正反対の言葉を口にしたせいだろう。自らを焼きつぶして魔王はあっという間に消滅した。 「祝福……って何だそれ」  呆然と、俺たちは立ち尽くす。  悪意をもった『祝福』。  魔王の最期の言葉だ。ろくでもない内容に決まっている。  そう思った瞬間、ずしりと体が重くなった。 「クロム!」  カイトの慌てた声を聞きながら、オレはその場に倒れた。
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