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声が聞こえた方に視線を送ると思いっきり逸らされた。
やっぱり風帝か。
まあ自分でもちょっとばかり力加減間違えたとは思っていたので水帝を治療する。序でに床も元通りに。
楽は何がおかしいのか笑い転げているので放置だ。
一通り直し終わった頃、臣下のおっさん達と帝が一斉に膝を付いて頭を下げた。
楽は笑うのを止め、その場に胡座をかいて呑気に「やっとお出ましかー」なんて言っている。お前はそれでいいのか。
呆れながら俺も帝達のように膝をついた。
「随分と騒がしかったのぅ」
玉座に腰掛けるのはいかにも王様らしい威厳あるおっさん…ではなく、冠を被った不細工なクマのぬいぐるみだった。
どこの公務員アニメだよ…。
絶対楽の入れ知恵だ。
楽を見ると両手を上げ、「俺は知らない」と首を横に振る。
惚けても無駄…
「陛下!またそんな格好で…!」
「いい加減にしてください!こいつなんてここに来てもう五年も経つのにまだ本物の陛下のお姿を見たことがないんですよ!?」
まじか。
臣下の中では一番若いであろう男性を指差す髭面のおっさん。
その男性はそれによって注目されたことで恥ずかしそうに下を向く。
なんか可哀想に思えてきた。よく五年もそんな王に仕えてるな…。
王「だ、だって恥ずかしいんじゃもん!それに今のわし見たら主ら絶対軽蔑するじゃろ!?引かれるのヤじゃ!」
雷「子供か」
楽「ぬいぐるみの時点でアウトwww」
ごもっともな意見を、一番言われたくないであろう二人に言われて落ち込むクマ…じゃない王様。
この国大丈夫か…。
リナを見ると、頭を抱えて項垂れている。そらあんなのが自分の父親だったら恥ずかしいよな。
王「ゴホン。…して、主が新しい帝であるか?」
霧「……はい」
ぬいぐるみの黒い瞳が俺の方を向く。
……なんか気持ち悪ぃ…。
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