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世界が目まぐるしく変わっていく。
私の小さな世界が。
両親は私に叱る言葉も褒める言葉も助言も与えない。
私が変えた。
私の言霊(ちから)で。
「両親に褒められたい」「両親に認められたい」という目標を自ら放棄した私は、張っていた糸がぷっつりと切れたように、もう頑張れなくなった
立ち上がれなくなった。
――そして数日後、畳み掛けるように力の暴走が起きた。
意識が遠くなり、力が抜けていく中で、私は思った。
「これは罰だ」と……。
私に与えられた不思議な力。
それに伴う変化が、擦り切れた弱い心を更に追い詰めていく。
もう疲れてしまった。
終わらせてしまおうか。
私の小さなこの世界を。
大丈夫。
苦痛はないはずだ。
簡単だ。
たった、たった一言なんだから。
逃げよう、逃げてしまおう。
目を閉じて、深呼吸。
大丈夫、私はもう大丈夫。
私は静かに目を開けた。
そして口を開く。
言葉を紡ぐために。
私の世界を終わらせるために。
「私は……」
「ねぇね」
鈴のような声と共に、ぐいっと制服を掴まれた。
「ねぇね、遊んで」
振り返ると、小さな手が私の服を掴んでいた。
しっかりと、まるで私を世界に繋ぎとめるかのように。
彩良が私を見上げていた。
私の可愛い妹。
彼女の大きくて円らな目が私を見つめている。
きらきらと輝く、綺麗な目。
その目を見て、私は目が覚めたような気がした。
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