私を救う小さな手

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お母さんとお父さんは私を大事にしてくれる。 私のためにいろんなことをしてくれる。 2人はとっても優しいけど、それでも絶対に褒めてはくれない。 認めてはくれない。 中学生になった今も、それは同じで。 私に、立派な大人になってほしいからってお母さんとお父さんは言う。 だけど、2人の言葉は、時々私の心に突き刺さる。 その言葉が本当ではないって分かってるけど、それでも、辛くて泣きそうになる。 だって、私にとって言葉は重いものだから。 例えそれに意味はなくても、言葉は鋭い刃に変わる。 「どうしてこんな点しか取れないの」 「もっと頑張りなさい」 「何であんたは、何にもできないの」 「本当、駄目な子ね」 ごめんなさい。 いい子じゃなくてごめんなさい。 もっと、もっと頑張らなくちゃ。 頑張って、頑張って、何とか認めてもらいたくて。 必死に勉強した。 勉強して、いい点を取るほど、先生は褒めてくれる。 でもそれじゃ駄目なんだ。 本当に褒めてほしい人はお母さんとお父さんなんだから。 「ぶりっ子」 すれ違い様、ぼそっと言われた。 最近、女子に言われるようになった。 先生に褒められたり、係を任されたりするほど、悪口を言われる。 すれ違い様に、 大きな声でこちらに聞こえるように、 真正面から、 いろんな人にいろんな形で投げつけられる。 悪意のこもる言葉。 こちらを見ながら笑うその目は悪意が見え隠れする。 どうして、どうして、どうして。 そうじゃない、そんなんじゃない。 私はお母さんとお父さんに認められたくて頑張ってるだけなのに。 攻撃はどんどんエスカレートしてきて、家でも学校でも投げかけられる心無い言葉が心に積もっていって…… そして私は笑えなくなった。
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