風紀。

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「ちっ、何だこの狭い部屋は。俺様の生徒会室とは大違いだな」 「あ?今なんつった?執務室と私室の区別もついてねぇお前らと一緒にすんじゃねーよ」 悔し紛れに、ソファーにふんぞり返りながらバ会長が放った台詞に、原田がすぐさま鼻で笑って言う。 「とんでますね、火花」 『バチバチですね』 にこやかに言って、紅茶を口にする山南さんに同意した。いらいらする土方に、相変わらず笑顔の山南さん。睨み合う風紀幹部と生徒会に、俺に寄り添う夜。小春や爽やかは、居心地悪そうに紅茶のカップを手にしていて、淳に至っては、   「な、何だお前っ……!?」 「こいつ、親衛隊隊長の…」 パシャパシャとシャッター音の鳴る方へ、顔を向ければ案の定。 目の前で起こる緊迫した睨み合いには目もくれずに、後ろに振り返って双子を撮影しまくる淳がいた。 「「き、気持ち悪っ……!何その顔っ!」」 「俺のことは気にしんといてください!さっ早く、紅茶フーフーして飲ませてあげて!プリーズ!」 「きもちわるっ」   双子のうちの一人、弟のほうが珍しくはもらずに無表情で呟いたかと思えば、 「し、白石!こいつ何とかしてよっ!」 ハアハアと鼻血をティッシュで拭いながら、シャッターを切り続ける淳に兄のほうが後ずさる。 …こうしてみると、中身は正反対なのかもしれない。 弟のほうは得体の知れない生物でも見るように、引きつつも好奇心がくすぐられるらしく、興味津々といった様子だ。 対して兄のほうは、本気で淳を恐れているようで涙目になりながら俺を呼ぶ。 やっぱり鬼ごっこの事件辺りから、俺に対しての考えが変わったらしい。 『(へー……。面白い)』 この双子、全然似てないんだな。 双子の親衛隊隊長をしている、みかるや海斗には悪いけど、俺。見分けられるっていうだけで、この双子はそっくり同じ生き物だと思ってた。 ―――だって、そう“見せよう”としてるしな。 なんて、双子の弟の方に意味深に視線を送れば、一瞬だけそれらが交差する。 すぐに逸らされたそれは、ほんの一瞬だったけど、―――ぞくりとした。 …ふうん。 これは、結構本気で。……面白ぇかもな。 喉の奥で、小さく笑った。
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