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そして彼女を見つめる。
ん?と不思議そうに首を傾げた頼子に私はとつとつと話しはじめた。
「うち、父子家庭じゃん」
「え?ああ、そうだったね」
「お父さん、今度転勤になっちゃって」
「え、いまの時期に?」
「うん、なんか新規のプロジェクトの立ち上げに関わるみたい」
「へー。確かに美琴パパやり手ってかんじだもんね」
どんなかんじよと笑ったあとで、じゃあ、と頼子は眉をひそめる。
「あんたも転校?」
その言葉にまさか、と首を振る。生まれてからずっとこの街に住んでる。
いまさら離れる気は無い。
「単身赴任。あたし来年受験だし、どうせ地元の大学行くから。お父さんも何年かで帰ってくるみたいだし」
「え、じゃあ一人暮らしじゃん。大丈夫なの?」
それがねー、と溜め息をつく。そう、問題はここからなのだ。
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