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「あたしは大丈夫だって言ったのよ?母親いないから家事だって一通りできるし、お父さんも帰り遅いからいままでだって半分一人暮らしみたいなもんだし」 でも、そこはやはり親なのだろう。高校生が自分の目の届かなくなる場所で一人暮らしなんて、心配で仕方ないらしい。 「まだ早いってさ。親戚の……お父さんの妹の家に高校卒業まで預かってもらうことになった」 「へー。まあ、良かったんじゃん?やっぱ一人暮らしはさ、大変だと思うよ。特に受験生になったら家事とかやってらんないし」 「………まあ、ね」 「なに、嫌なの?」 きょとん、とした顔で聞かれて私は黙ってしまう。 もちろん、これが最良だと分かっている。二年前まではしょっちゅうあの家に入り浸っていたし、叔母や叔父も母親のいない私を常に気遣ってくれる。 居心地は確かに良いし、学校からの距離もむしろいまより近くなる。
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