「オカシラァ、ハラァ減りました」

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「…………夢、か」  毛布にくるまれて見た世界で、今世界で一番、愛おしい気持ちで空を眺めている。  第三者目線にせ、死ぬのを見る夢とは縁起が悪すぎる。ついに夢魔にでもとり憑かれたのかと俺自身がひどく心配になる。 「……うなされてましたね」  しれっとしたカオと声で、俺の隣からこっちを見ているコイツに俺は不満の表情で睨む。 「何で起こさなかったんだよ……。起きてたんだろ?」  コイツはショートボブの金髪を左右に靡かせ、否定する。 「私だって、夜に寝たりするもの。いつだって、起きてないもの」  まぁ、一理ある言葉だが……とここで大切なことを思い出す。  いや、昨日はお前が不寝番のはずだから、お前は起きとかないとダメなんじゃ……ということに。 「えーと……。昨日の不寝番って、どなたでしたっけ?」  まったく悪気のない笑顔を顔いっぱいに浮かべ、少女はそれを返す。 「んーと。貴方じゃなかったでしたっけ?」  ……もうね、こいつはアホかと。バカなんじゃないかと。だって昨日『おやすみ』って言って俺は寝たはずなのに、朝起きてこれはバカなのかとね。今までも何回かあったけど、その都度疑ってたけど、これは間違いないわ。 「……なぁ。リル」 「なーに?」  少女、もといリルが振り返るタイミングを見計らい、頬を掴んで両方に引っ張る。 「何か言う事はないか? ん?」 「ひひゃい……ひひゃいへふ」  推定でだが痛いとしかいってない。今いる場所が山の中でもなければ、ここまで言ったりはしない。
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