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下にはゴミ袋があり、それがいいクッションになった。
「うぇっ……くせぇ。最悪だな」
ゴミに埋もれて咳をする。余程の悪臭だったのか、急いでゴミを掻き分けて進もうとする。
が足を取られて目の前にある、汚れた布にダイブした。
打ち付けた額を抑えてゴミの群れから這い出て、口を開く。
「いっ、マジで最悪……だ、えっ?」
目を見開いて、今視界に映る事を脳内で否定し、疑う。
その表情は喜怒哀楽だが“怒”ではなく代わりに“驚”が入った、とても不安定な顔。
詩音の目に映ったのは、布から少し顔を出し眠った少女。
少女は眉をピクッと動すと目を覚まし、身体を弱々しく起こす。
そして跨がる詩音の顔を数秒見て、小さくゆっくり口を開く。
「……きれい」
その声はか細く、今にでも消えてしまいそうだった。そんな少女を詩音は意味がわからないといった顔をして見る。
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